IT系の人気資格として、プロジェクトマネージャ試験とPMPがあります。
今回この2つの試験の概要、難易度、合格率、どちらが役立つかを紹介します。
プロジェクトマネージャ試験とは
プロジェクトマネージャ試験は、IPA(情報処理推進機構)がおこなう国家試験です。情報処理技術者試験のなかでは、難易度の高い試験となります。
試験内容
試験は、「午前Ⅰ」、「午前Ⅱ」、「午後Ⅰ」、「午後Ⅱ」の4つの出題形式からなります。
午前Ⅰ は、他の高度情報処理資格と共通の問題で以下の形式です。
- 試験時間 50分
- 多肢選択式(四肢択一)
- 出題数 30問
午前Ⅱ は、午前Ⅰと同様に選択問題ですが、プロジェクトマネージャ向けです。
- 試験時間 40分
- 多肢選択式(四肢択一)
- 出題数 25問
午後Ⅰ から記述式となります。
- 試験時間 90分
- 記述式
- 出題数 3問 から 2問を解答
午後Ⅱ は3,000字程度の論文です。初めて受験する人には一番抵抗がありますが、きちんとした対策をすれば午後Ⅰよりは簡単です。
- 試験時間 120分
- 論述式
- 出題数 3問 から 2問を解答
最新情報はIPAのホームページで確認してください。
合格率は平成21年度から平成26年度まで、毎年12%くらいで推移しています。実際の難易度は年度によってバラツキがあるので午後の採点においては人数調整をしている可能性があります。
難易度は高めですが、現在の職種によって感じ方は異なると思います。
技術系のみでおこなてきたエンジニアには、マネージメントという全くことなった知識が必要となるため難しく感じます。一方、実際にプロジェクトを管理している立場であれば、簡単に感じます(実際の現場では、もっと難しい課題に立ち向かっているはずなので)。
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PMP試験とは
PMP(プロジェクト・マネジメント・プロフェッショナル)は、PMI(米国プロジェクトマネジメント協会)が認定しているプロジェクトマネジメントの国際資格です。 プロジェクトマネジメントを体系化したPMBOKをベースとした試験です。
国家試験のプロジェクトマネージャ試験と異なり、合格までにお金がかかるのが特徴です。まず受験するためにはPMIが認定した研修を35時間受けなければなりません。本試験も5万円程度(PMI会員 405ドル、一般 555ドル)かかります。個人でなんとなく受けてみるというよりは、会社からの指示で受験するケースが多いようです。
試験内容は、パソコンによる試験で、200問を4時間で解きます。
4時間連続で非常に疲れますが、途中のトイレ休憩とかも認められています。
国際資格だけあって、問題文が英語であるという特徴もあります。画面上に一応日本語訳が表示されるため、英語が苦手でも内容は理解できます。ただし、この日本語訳がひどく、文法的におかしな日本語だったり、誤訳もちらほら。
日本語訳は見直されているようですが、PMPのもととなっているPMBOKの改定後は新しい問題となり、日本語訳がまたくずれるようです。
合格率は60%くらいといわれています。海外ではもう少し高いようですが、この差は日本語訳のひどさが影響していると思われます。
プロジェクトマネージャ試験とPMPのどちらが人気・どちらが役立つか
一時期は、国際資格のPMPの方が人気でしたが、合格率が高く、日本での資格保有者も多くなってしまいました。またPMPは受験前の研修費、受験費用、受験後の研修・更新費用もあり、企業の負担が大きいため、以前ほど社員に取らせることは減ってきました。
社内外へのアピールではプロジェクトマネージャ試験の方が今後高くなると思います。
しかし、実際のプロジェクトでどちらが役立つかといえば、PMPです。
PMP試験では、PMBOK(プロジェクトマネジメント知識体系ガイド)がもととなっており、プロジェクトに必要なコスト管理、品質管理、時間管理、リスク管理等が体系的に学べます。このスキルはプロジェクトに必須ですが、プログラミングや設計のみおこなってきたエンジニアには不足しているものです。このスキルがないプロジェクトマネージャはだいたい失敗します。
最近ではプロジェクトマネージャ試験もPMBOKの問題が増えてきているため、試験順序としてはPMPで基礎知識を身につけ、プロジェクトマネージャ試験を受けるといったのがお勧めです。わたしもこの順序で受けました。